今日の「ちょっとイイ譚・ウマイ譚」
今週のつぶやき親仁・2021年11月14日(日)~11月20日(土)
山口瞳は、向田邦子が飛行機事故に遭った時間帯に庭の雑木が隣のアパートにせり出しため小屋の屋根に上ってそれを切った。その雑木が白い木槿であった。作家の命日は、亡くなった季節
「桜桃忌」がそれである。今回、直木賞受賞の三作、「かわうそ」「犬小屋」「花の名前」(文庫本「思い出のトランプ」に収録)を読み返した。なるほど我々凡人が気づけない人間の機微を
●「向田邦子の譚(こと)⑥・事故から帰国まで」
▲航空機事故が起こったのが1981年(昭和56)8月22日。日本人で犠牲になったのは、向田邦子と同行した志和池氏とその秘書を務めていた義妹、通訳の女性の4人を含む17人という。事故翌日の8月23日、二歳年下の保雄氏と志和池氏の妻、他の女性の母親等が羽田から台湾へ向かった。8月24日に遺体確認作業がはじまった。保雄氏によれば、向田邦子の遺体は『悪の華』(ルオー作)に見えたという。「気をとり直して、事故で亡くなった犠牲者のほうに顔を向けたとたん、窓際のいちばん隅に、「悪の華」の絵をみた。おでこが、まるで運動会の鉢巻きをしたように、白く光っていた。そのあたりが、ぼうっと明るんで、ルオーの『悪の華』に見えたのだ。」(「姉貴の尻尾」p154)。
▲しかしその「悪の華」には台湾人の家族も申告していたという。保雄氏は、年齢、身長、血液型、(乳がんの)手術痕、着ていた衣服の色など精査するよう検察官に執拗に告げたという。(同・pp154~155)。この日は、同行の犠牲者家族とともに旅行社へ行き、利用した運転手から話を聞いた。一行が宿泊していたホテルも行った。
▲8月25日、同行の犠牲者家族と事故現場に行き焼香。8月26日、遺体確認終了。8月27日、台湾での火葬(荼毘)。8月28日、保雄氏、遺骨を抱いて帰国。
つづく。11月19日。
2021年11月14日【257】
<< 今週のつぶやき親仁・2021年11月7日(日)~10月13日(土) | 戻る | 今週のつぶやき親仁・2021年11月28日(日)~12月4日(土) >>
最近の記事
- 今週の「ちょっとイイ譚・ウマイ譚」(2022年12月18日~12月24日)
- 今週の「ちょっとイイ譚・ウマイ譚」(2022年8月7日~8月13日)
- 今週の「ちょっとイイ譚・ウマイ譚」(2022年7月24日~7月30日)
- 今週の「ちょっとイイ譚・ウマイ譚」(2022年7月17日~7月23日)
- 今週の「ちょっとイイ譚・ウマイ譚」(2022年2月6日~2月12日)
- 今週の「ちょっとイイ譚・ウマイ譚」(2022年1月30日~2月5日)
- 今週の「ちょっとイイ譚・ウマイ譚」(2022年1月23日~1月29日)
- 今週のつぶやき親仁・2021年12月19日(日)~12月25日(土)
- 今週のつぶやき親仁・2021年12月12日(日)~12月18日(土)
- 今週のつぶやき親仁・2021年12月5日(日)~12月11日(土)
- 今週のつぶやき親仁・2021年11月28日(日)~12月4日(土)
- 今週のつぶやき親仁・2021年11月14日(日)~11月20日(土)
- 今週のつぶやき親仁・2021年11月7日(日)~10月13日(土)
- 今週のつぶやき親仁・2021年10月17日(日)~10月23日(土)
- 今週のつぶやき親仁・2021年10月3日(日)~10月9日(土)