トピックス
「今週のCT症例」・その37
症例37
14歳 猫
1ヶ月前に左下顎の腫瘤に気付き他院にて治療中であり、扁平上皮癌と診断されている。手術の是非を検討するため、CT検査を含めたセカンドオピニオンを希望して当院を受診。
現在、食事は可能だが、腫瘤による痛みがある状態。
CT検査では左下顎体部に腫瘤病変を確認。リンパ節への転移等は認められなかったため、外科的に切除することは可能と判断された。(腫瘤の位置を飼い主様にも分かりやすくするために立体像を画像処理で作成している。)
しかし頭部CT検査では、脳腫瘍を疑うような影(画像所見)も確認された。一般的には猫の扁平上皮癌の脳への遠隔転移は起こりにくいとされていることから、猫でよく見られる髄膜腫などを疑う。(造影剤を使用して撮影することで病変が分かりやすくなる。)
現段階において頭部CTの異常画像に因る神経症状は見られないが、今後は意識障害や痙攣発作等が発現する可能性もあるため、手術をすべきかは慎重に判断すべきと思われた症例である。このように手術前にCT検査を実施することは非常に有用である。
CT検査① 下顎腫瘤
CT検査① 赤丸:下顎腫瘤
CT検査②(頭部CT像・造影剤なし)
CT検査②(頭部CT像・造影剤あり)
CT検査② (脳腫瘍 造影剤あり):赤丸は脳腫瘍(髄膜腫)を疑う所見。青線はその病巣による脳実質の圧迫像。
2021年10月13日【461】
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